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入院中のおばあちゃんは食堂でデスエデュケーションを行う

私が現在入院中のリハビリ病院では入院患者は決まった時間に食堂でご飯を食べます。私は過去に何度か入院生活を送った経験があるものの、今回の病院のように患者一同が食堂に集って食事をするタイプの病院は初めてです。

 

●おばあちゃんはよく喋る

入院患者が集って食事をする、と言っても勿論みんなは他人です。大半の患者が黙々と食べ物を口に運び、食事をします。
しかし、そんな静まった食堂でも賑やかに喋り出す患者さんもいます。
おばあちゃん達です。
これは面白いことなのですが、男性患者は全くコミュニケーションをすることなく、食事に一転集中しているのです。
 

●おばあちゃんは夫、子供、孫、病気、保険、食事など話すトピックが幅広い

おばあちゃんグループはよく話します。トピックは多岐にわたりますが、最も話されるのは「家族、病院、保険」の3つでしょう。
食べ物の話も多いです。中には、毎回の病院食を批評するおばあちゃんもいます。
食堂で繰り広げられるトークに耳にすると、女性は男性より考えることが圧倒的に多い、と私はつくづく思ってしまいます。
 

●死に関する話

個人的に一番私を悩ませるのは、「死」というトピックです。食事中はできれば死を考えずに、ご飯を味わいたいのですが、おばあちゃんたちは平気で死について話します。
この間は「死んだ家族を時系列順に話すおばあちゃん」がいました。話は、もっとも昔に死んだ父から始まり、数年前に他界した夫で終わりました。
 

●おばあちゃんは食堂でデス・エデュケーションをしている

これはおばあちゃん達のデス・エデュケーションなんだと思います。いつか自分も迎える死を精神的に受け入れるための準備をしている。デス・エデュケーションとは「死の教育」と直訳できますが、「死にフォーカスを当てることで生を見つめ直す」という意味合いが込められています。
入院生活では嫌でも死と向き合う状況があります。これは、年を取れば取るほど、顕著になるでしょう。まだ20代の私も、やはり病室にいると、死についてよく考えるようになりました。
 

●デス・エデュケーションについて考えるための一冊

私がただのおばあちゃんグループの会話を真剣にデス・エデュケーションと考え始めたのは一冊の本がきっかけです。遠藤周作氏の【死について考える】という本です。当作品で、遠藤氏は死について自身の考察を執筆しています。そこで扱われるキーワードのひとつがデス・エデュケーション。
 
 
今日もおばあちゃんのデス・エデュケーションの中で
私も死について考えています。